製薬業界への道~技術職からの業界研究~

製薬業界や企業について紹介しているブログです。製薬企業の技術職(研究職・生産技術職・品質試験職)を目指している方の目線で解説しています。

製薬会社のリストラ・早期退職制度の実態

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数十年前では安定した業界と言われていた製薬業界ですが、近年では「早期退職制度」が多くの会社で実施され、将来性に不安を感じている人も多いのではないのでしょうか。週刊東洋経済の2020年12月19日号では「製薬 大リストラ」というタイトルでMRと各製薬会社についての特集記事が掲載されていました。

製薬会社も「リストラ」や「早期退職制度」などを通して経営のスリム化を目指しています。この記事では組織再編として、製薬会社が実施している戦略を解説していきます。

 

製薬会社でのリストラ

解雇・リストラのイラスト

製薬会社を取り巻く環境は毎年の薬価改定や後発医薬品の促進活動、新薬開発の難易度増など年々厳しくなっています。これに伴い製薬会社も組織再編やスリム化などが進んでいます。組織再編時には人員の整理も必要となりますが、日本の雇用制度はリストラの実施が難しいとされています。そこで、製薬会社がどのように人員・組織を整理しているかを分野ごとに考えていきましょう。

 

研究開発系

研究に成功した人のイラスト(女性)

研究職

研究職が勤務する研究所は本社と別の場所にあることが多いです。 そのため、土地や建物等の維持費も必要となります。これらの維持費を考慮すると数人~数十人を退職させるよりも建物全体での運営方法を検討した方が効率的です。実際、研究所が閉鎖される事例もいくつか見られ、従業員は他の研究所や本社に異動しています。研究所を閉じてしまうと医薬品開発が出来ず、製薬会社として成り立たないため、閉鎖する際は効率的な研究開発を目的とした他拠点との統合が多い印象です。

実際に閉鎖された研究所の例を示しました。

中外製薬 富士御殿場研究所・鎌倉研究所を閉鎖(予定)

田辺三菱製薬 戸田事業所・鹿島事業所を閉鎖(2021年)

武田薬品工業 十三研究所・つくば研究所を閉鎖(2011年)

 

開発職

開発職は製薬会社の組織としてはいち早く変化に対応してきた職種です。開発職は治験を通して医薬品の安全性や効能を調べる役割を担っています。治験の進行状況を確認するモニタリング業務は治験実施施設全てでおこなうため、第三相試験では多くの従業員を必要とします。そこで、モニタリング業務等の一部の業務を委託することで従業員を減らすことに着手しました。近年ではCROという治験の委託業務を実施する会社も増え、製薬会社との役割分担もできています。このように開発職のスリム化は既に進んでおり、製薬会社は新入社員の採用人数を絞ることで、開発職の人数を抑えています。そのため、「人員削減」に関してはあまり考えなくてもよい職種といえるでしょう。

 

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製造系

指差し確認のイラスト(クリーンウェア)

製造系は工場に勤務する職種です。製造系の職種は医薬品の安定供給を考慮すると「リストラ」や「早期退職」を求められる可能性は低いでしょう。しかし、製造系は個人の能力を判断されるのではなく、組織として必要性を判断されます。つまり、工場が自社の拠点として必要か否かです。必要でないと判断された場合は他社への売却が考えられます。実際、製薬会社は下記のように内資系・外資系問わず、工場の数を減らしています。

・武田テバ 高山工場を日医工に譲渡(2021年)

鳥居薬品 佐倉工場を岩城製薬に譲渡(2020年)

第一三共 高槻工場を太陽ホールディングスに譲渡(2019年)

・MSD 滋賀工場をキョーリン製薬ホールディングスに譲渡(2017年)

田辺三菱製薬 鹿島工場を沢井製薬に譲渡(2015年)

エーザイ 美里工場を武州製薬に譲渡(2014年)

 

営業職

営業で外回りをする男性会社員のイラスト

営業職は研究職や製造系のように組織全体で譲渡などと組織再編されることは少ないでしょう。そのため、組織再編を考えるにあたって「リストラ」や「早期退職制度」を実施しますが、日本では「リストラ」することが難しいとされています。そこで、「希望退職制度」などで退職者には退職金に割増金をつけ、希望退職者を募集します。

 

まとめ

組織ごとに実施されうる組織再編について解説してきましたが、年齢が上がるにつれ、ポジションが減る影響から一律で実施される「早期退職制度」もあります。この場合はどの職種でも対象になる可能性は大きいです。

組織再編には「組織」と「従業員個人」の二つの視点から考えることができます。「組織」で再編を考える際は別の会社に譲渡することが多く、雇用は保証されています。そのため、ニュースになる際も業界内での話題となるでしょう。しかし、「従業員個人」で再編される場合は「早期退職制度」を実施します。こちらは「リストラ」のように報道されるため、より大きく報道されるでしょう。

どの会社に入社しても組織再編が実施される可能性はあります。しかし、職種によって実施方法も異なるため、希望している職種はどのリスクが高いか知っておくことは将来設計でも役に立つでしょう。

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