製薬業界への道~技術職からの業界研究~

製薬業界や企業について紹介しているブログです。製薬企業の技術職(研究職・生産技術職・品質試験職)を目指している方の目線で解説しています。

医薬品の回収とは? 回収例や流れを解説

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回収とは??

横向きのトラックのイラスト

「回収」を辞書で調べると下記のように記載されています。

一度配った物や使った物などを、また集めること。

出展元:回収(かいしゅう)の意味 - goo国語辞書

私たちの身の回りにあるものの多くは工場で製品が作られています。これらの製品は出荷される前に検査し、不良品を取り除いています。「回収」は出荷されてしまった不良品を製造者・販売者が集めることを指します。一般的によく知られている回収の例としては、車や電化製品などではないでしょうか。

 

医薬品の回収

医薬品にも回収というのがあります。医薬品の回収は危険性の程度により3段階(クラスI・クラスII・クラスIII)に分けています。クラスIが危険性が最も高くクラスII、クラスIIIと続きます。

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 回収されている医薬品の情報はPMDAのサイトで確認できます。

回収情報(医薬品) | 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構

 

回収例 

薬のイラスト「カプセル・セット」

クラスI

クラスIの回収は、重篤健康被害を及ぼす製品ということで血液製剤が多くなっています。理由としては献血後に病原体による感染が確認されるというもので、防ぐのは難しい事例ではあります。その他は以下のようになっています。

発がん性物質のN-ニトロソジメチルアミンを検出

・他成分の混入

クラスII

回収を検討する際、基本的に「クラスII」に該当として検討をおこないます。

・バイアル内にガラス片が混入

・毛髪の混入

・錠剤表面に昆虫が付着

・安定性試験で含量規格の不適

・安定性試験で溶出規格の不適

クラスIII

クラスIIIでは健康被害の原因となることはまず考えられないということで、包装系の不良が多くなっています。

・有効成分名の誤記

・使用期限・製造番号の未捺印

・個装箱のGS1コードの誤印字

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回収の流れ

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製造業者で医薬品の不良が見つかった場合、製造販売業者に報告し、製造販売業者は回収の要否及び範囲を検討します。回収が決定された場合、厚生労働大臣に回収に着手した旨及び改修の状況を報告します。(実際は都道府県に委任されており、各都道府県に報告するため、以下は都道府県に報告と記載)製造販売業者はインターネットや報道機関を通じて回収情報を開示します。薬局や医療機関などにも回収の連絡をおこない、未回収品がないように管理していきます。回収が終了した際にも都道府県に報告します。回収品の廃棄を終え、回収品の措置が終了した際は「回収措置終了報告書」を作成し、都道府県に報告します。

 

回収を防ぐために

研究に成功した人のイラスト

上記の回収事例には出荷時に分かるものと分からないものがあります。印字や異物等は工程検査で発見できれば、出荷せずに回収せずに済みます。しかし、安定性試験の不適は出荷時に判明することはありません。

 

回収となってしまうと様々な人に迷惑をかけてしまうため、できるだけ未然に防ぎたいと誰もが思うはずです。安定性試験の不適というのは、原薬、製造時の環境、保管状況によって引き起こされると考えられます。これらを未然に防ぐ方法としては、開発時にできるだけ品質を作りこめるかということです。開発時に製剤の特性(長期保存すると含量が低下するや溶出性が減少するなど)を把握しておくことで、それに対応した規格、保存方法などが採用され、回収を防ぐことができます。

 

研究開発に関わる人たちは医薬品が承認された後のことも考え、よりよい医薬品をつくりましょう!

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