医薬品は原薬(有効成分)を合成し、添加物を加えるという過程を経て製造されます。
医薬品の製造に関わる職種として「製造職」や「生産技術職」があり、これらの職種は原薬または製剤どちらに関わるかで業務内容が大きく変わってきます。原薬・製剤の違いを知ることで会社が求めている人材を知ることや自分自身のキャリアプランを考えることに役立ててください。
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原薬
低分子医薬品
低分子医薬品の原薬製造工程は反応、晶析、分離、乾燥の過程を経て製造されます。上記に反応工程例として非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の一種であるイブプロフェンの合成経路を示しています。出発物質から何段階か反応をさせ目的物質を生成(反応)した後、化合物を冷却し結晶化(晶析)させ、不純物を取り除く分離をおこない乾燥することで原薬を製造します。これらの製造過程は化合物を合成し生成していくため、有機合成化学の知識を必要とします。
バイオ医薬品
バイオ医薬品の原薬は以下のような工程を経て生産されます。
まず、目的物質を産生できる種細胞を育てセルバンクとして保存します。このセルバンクから段階的に培養のスケールアップを積み重ね、大量の目的物質を産生します。次に培養液から細胞を取り除き(細胞除去)、培地成分や不純物を取り除くことで純度を高めます(精製)。これらの工程は生物学系のバックグラウンドを必要とします。
製剤
製剤として経口固形製剤の製造方法を例に説明します。経口固形製剤の製造方法は医薬品に必要な原料を秤量し、流動性を良くするために造粒し、滑沢剤を混合後に打錠し素錠を造ります。安定性の観点からフィルムコーティングをおこない、包装し医薬品が完成します。製剤の製造では原薬のように反応を起こすことはなく、含量の均一性や打錠障害に意識を置いて作業します。感覚でいうと料理のようなイメージであり、製剤学の知識が必要です。
詳しい経口固形製剤の製造方法は下記の記事をご覧ください。
まとめ
原薬の製造方法は有効成分を反応や細胞培養によって産生します。この製造工程では高い純度が求められ、それらの工程は有機合成や生物学の分野の知識を必要とします。一方、製剤の製造工程ではスケールが大きくても含量が均一となるような製造方法が求められます。それぞれ求められる知識が異なりますが、大学で上記の専門を学んでいなくとも採用されることはあります。しかし、入社後のギャップをなくすためにどの知識が求められているかを理解しておくことは重要です。
実際に業務の詳細まで把握するのは難しいと思いますが、自分の思い込みだけで就職活動をせず、しっかり業務内容について把握して就職活動をおこないましょう。
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