田辺三菱製薬株式会社(以下、田辺三菱製薬)は2007年に旧田辺製薬と三菱ウェルファーマが合併してできた製薬会社です。2020年に三菱ケミカルホールディングスの完全子会社となりました。2020年3月31日現在、従業員は単体で3,764名、連結で6,987名所属しています。
田辺三菱製薬のグループ会社(一部)
田辺三菱製薬工場(株):医薬品の製造を担っています。試験分析センター(大阪府大阪市)、小野田工場(山口県山陽小野田市)、吉富工場(福井県築上郡)の3拠点あり、約600名の従業員が働いています。
吉富製薬(株):精神科施設を対象とした医療用医薬品のプロモーションをおこなっています。
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1. 売上情報
2015年度から2020年度までの売上高、営業利益、営業利益率を示しています。2017年までは売上高・営業利益は安定していましたが、2018年より減少傾向がみられます。さらに、2019年度は営業利益が-60億円の赤字になっています。
この赤字は連結子会社であるメディカゴ社が季節性インフルエンザ予防として開発していた植物由来VLPワクチンの開発を中止したことによる無形資産(仕掛研究開発)の約240億円を減損損失として計上したためです。2020年度の決算予想では売上高は2019年度と同水準、営業利益は100億円を見込んでいます。
2018年度のセグメント別売上をまとめました。2019年度は田辺三菱製薬(株)の完全子会社化により発表されていません。国内医療用医薬品が70%を占めており、ロイヤリティー収入、海外医療用医薬品と続いております。
2018年度の地域別売上を上記に表示しています。先ほどにも示したように日本が73%と田辺三菱製薬(株)は日本市場での売上を軸にしています。13%の欧州、9%の北米、5%のアジアとなっています。米国事業では2017年に発売したALS治療薬「ラジカヴァ」が販売拡大され270億円の収益をあげています。「ラジカヴァ」は順次、展開国の拡大を図っており、カナダ、スイスで承認を取得しています。
2. 製品
国内医療用医薬品の重点をまとめ、売上高、再審査期間終了日を記載しています。日本の売上が約3000億円ということから、「レミケード」、「シンポニー」の売上は大きいですが、特定の製品に依存していることはありませんでした。売上上位3製品の「レミケード」、「シンポニー」、「ステラーラ」はバイオ医薬品であり、田辺三菱製薬(株)は積極的にバイオ医薬品にも参入しています。しかし、この3製品はヤンセン社からの導入品であり、田辺三菱製薬(株)が製造販売業者として承認を取得しているのはレミケードのみであり、MR以外の職種で直接携わる可能性は少ないでしょう。
ここ5年間で発売された医薬品の一覧です。新薬として「バフセオ」、剤形・規格追加として「テネリア」、「バリキサ」が発売されました。
3. パイプライン
国内開発品のパイプラインを上記に記載しました。
上記の一覧から自社創薬品の比率がかなり高いことが分かります。研究開発にもしっかり投資をおこなっている結果が表れています。MT-2990はバイオ医薬品であり、バイオ医薬品にも挑戦していることが分かります。研究職、開発職で入社される方は上記の自社創薬品に関わっていく方も多いのではないでしょうか。
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4. 採用・勤務地
田辺三菱製薬が2021年度新卒採用で募集していた職種は技術研究職、開発職、データサイエンス職、MR職です。
MR職は全国の営業所に配属されます。
・本社、東京本社
本社、東京本社は開発職、データサイエンス職の配属候補地となっています。
・横浜事業所、湘南事業所
横浜事業所、湘南事業所は技術研究職の中でも創薬研究をする人たちの所属場所です。 2019年に戸田事業所が閉鎖されたため、湘南事業所を拠点の一つとしています。ただし、プレスリリースには「2019年5月より一定期間、湘南アイパーク(神奈川県)を研究拠点として~」と書かれており、一定期間というのは気になります。
参照:https://www.mt-pharma.co.jp/news/assets/pdf/MTPC190411.pdf
・鹿島事業所
鹿島事業所は技術研究職の技術研究職の人が配属されます。しかし、2021年に鹿島事業所は閉鎖され、山口県に小野田事業所が新設されます。現在、山口県の小野田市に田辺三菱製薬工場の拠点があり、より強固に工場と連携し業務を進めていくのでしょう。
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