アステラス製薬株式会社(以下、アステラス製薬)は山之内製薬と藤沢薬品が2005年に合併し発足した製薬企業です。2020年3月31日現在、連結ベースで15,833人の従業員が所属しています。これまで医療用医薬品のみを扱ってきましたが、長期的な企業の成長ということで新たな医療ソリューションの確立を目指しています。
アステラス製薬(株)の国内グループ会社
アステラスファーマテック(株): 国内向け医療用医薬品・原薬の製造等を担っています。
アステラスグリーンサプライ(株):環境緑化・資源リサイクル、緑化維持管理等を事業内容としています。国内アステラスグループの障がい者雇用の中核会社です。
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1. 業績
2015年度から2019年度までの売上高、営業利益、営業利益率を上記に示しています。売上高はここ五年は約1.3兆円、営業利益率は20%あたりと高い水準で安定しています。
※エスタブリッシュドマーケット:欧州、カナダ、オーストラリア、グレーターチャイナ:中国、香港、台湾、インターナショナル:ロシア、中南米、中東、アフリカ、東南アジア、南アジア、韓国、輸出売上等
地域別の売上をみると27%が日本の売上です。アステラス製薬の売上で一番大きく占めている地域は米国の35%であり、日本を8%上回っています。欧州市場を含めたエスタブリッシュドマーケットでの売上比率も大きく、海外進出に成功していることが分かります。
2. 製品
日本での主力製品を下記にまとめました。
アステラス製薬の主力製品である「プログラフ」、「イクスタンジ」、「ベタニス」、「ベシケア」は売上高が200億円をこえています。プログラフ(一般名:タクロリムス)は「多発性筋炎・皮膚筋炎に合併する間質性肺炎」で2023年までの再審査期間を取得していますが、他の症状についてはジェネリックが参入しており、売上高は減少していくと思われます。
アステラス製薬はオーソライズドジェネリック(AG)等の後発医薬品に参入していないため、後発医薬品が参入すると売上が大きく下がることが予想されます。そのため、LCM(ライフマネジメント)戦略や新薬を出し続けることが求められます。
アステラス製薬は海外売上比率も高いため、海外を含めた場合の主力製品を上記に記載いたしました。主力製品の中でも一番高いのはイクスタンジであり4,000億円です。アステラス製薬の年間売上が薬1.3兆円ということから、30%がイクスタンジであることがわかります。そのため、この薬の売上が会社の業績に大きく影響するでしょう。
上記は過去5年で新しく薬価が収載された医薬品一覧です。
導入品が多いですが、自社開発品も出しており、グローバルの拠点を活用して世界にも展開されていくでしょう。
3. 特徴
アステラス製薬(株)の特徴は医療医薬品に特化しており、後発品事業にも参入していないことです。これは新薬を生み続けないと会社が存続できないということです。しかし、「ゾパスタ」の世界展開や「PADCEV」の米国発売、「エベレンゾ」の国内販売等で着実に成長を遂げています。また、「PADCEV」のようにバイオ医薬品に参入していることからもモダリティの変化に対応できていることがうかがえます。
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4. 採用・勤務地
アステラス製薬の2021年度募集職種は創薬研究職、臨床開発職、信頼性保証職、MSL職、製薬技術研究職、エンジニアリング、MR職でした。
MR職は全国の営業所、臨床開発職・信頼性保証職・MSL職は東京勤務となります。
創薬研究職、製薬技術研究職は以下の事業所があり、目的によって配属されます。
・焼津製剤研究センター
焼津製剤研究センターは名前にもある通り、製剤研究に携わる業務をおこなう事業所です。
・高萩合成研究センター
高萩合成研究センターは原薬の合成工場に隣接していることから原薬の開発に携わる職種の人が配属されるでしょう。従業員が約60名所属しています。
・つくば研究センター
筑波研究センターは創薬研究系に携わる人が配属される事業所です。 従業員は約600名所属しており、研究所としては一番多く所属しています。
・つくばバイオ研究センター
つくばバイオ研究センターはバイオ医薬品関係の研究に携わる方の所属先です。日本ではまだバイオ医薬品を上市していませんが、PADCEVのようにこれから製品数としては増えていくでしょう。従業員は約200名所属しています。
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