第一三共株式会社(以下、第一三共)は2005年に旧第一製薬と旧三共が合併し設立されました。「第一三共胃腸薬」や「ルル」などCMでおなじみの製品はグループ会社である第一三共ヘルスケアが販売しています。研究開発では「がん」を重点領域としています。
第一三共のグループ会社(一部)
第一三共ヘルスケア(株):OTC医薬品の研究開発、製造、販売
第一三共プロファーマ(株):医薬品の製造
第一三共ケミカルファーマ(株):医薬品原薬の製造
第一三共バイオテック(株):ワクチンの研究開発・製造
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1. 業績
2015年度から2020年度までの売上高、営業利益、営業利益率を示しました。売上高はここ6年9000億円以上と安定しています。営業利益率も9~15%で営業利益率の観点からも会社が安定しています。しかし、2020年度は4種混合ワクチン「スクエアキッズ」の販売中止による損出補填や研究開発費の増加により営業利益は約40%減少しました。
地域別の売上を比較すると日本が58%を占めており、北米、欧州と続いていますグローバルに進出していても日本を軸とした戦略がおこなわれているようです。
日本のセグメント別売上を見てみると医療用医薬品が87%を占めており、第一三共を支えている事業であることが分かります。CMでおなじみの第一三共ヘルスケアがおこなっているヘルスケア産業は二番目の12%です。他社も含め、OTC医薬品は医療用医薬品と比較して売上が小さくなります。知名度の割にはシェアが少ないというイメージではないでしょうか。
2. 製品
日本市場で2020年度に100億以上売上げている製品の日本市場での売上高、再審査期間終了日をまとめましました。2019年度に100億円以上売上げている製品は12製品でした。再審査期間が終了しないとジェネリック医薬品は申請できないため、独占的に販売できる期間と考えていいでしょう。ただし、特許等で独占的に販売できる期間が延びている場合もあります。
第一三共の売上上位に占めている製品は再審査期間の終了日も様々でジェネリック医薬品の参入によって、一気に売上が落ちるようなこともなく安心できることが推察されます。さらに、第一三共エスファがAG(オーソライズドジェネリック)を発売するため、第一三共の発売している先発医薬のがシェアが他社に奪われることを防いでいます。
上記の表はここ5年で発売されたクスリを表しています。第一三共は毎年いくつか製品を出しており、成長し続けていることが分かります。剤形追加も積極的におこなっており、CMCの部署(製剤研究・分析研究)では多くの経験ができるのではないでしょうか。また、バイオ後続品(バイオシミラー)にも参入しています。
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3. 特徴
第一三共の強みは毎年新製品を発売している研究・開発力です。さらに、ここ数年で発売されている「エンハーツ」や「ヴァンフリタ」、「イナビル」、「タリージェ」は自社創薬品であり、しっかりとした研究基盤があることが分かります。
第一三共グループの製剤工場は国内では平塚のみであり、製品数や会社の規模から考えると少ないと考えられます。そのため、製造を委託している製品も多いのではないでしょうか。
4. 採用・勤務地
第一三共の2021年度新卒採用での募集職種は以下の6種です。
MR職・研究職・データサイエンス職・開発職・安全情報管理職・コーポレートスタッフ職
MR職は全国の営業所の配属となります。
・本社
本社は約1,200名の従業員が所属しています。安全性情報管理職とコーポレートスタッフ職の勤務地です。
・品川研究開発センター
品川研究開発センターでは約1,200名の従業員が所属しており、大きな拠点となっています。データサイエンス職と開発職は品川研究開発センター勤務です。研究所の候補は多数ですが、品川が第一三共の研究開発の拠点となっていることもあり、研究職の方も配属される可能性が高いでしょう。
・館林バイオ医薬センター
館林バイオ医薬センターは研究職の方でバイオ医薬品に関わる業務の場合に配属される場所です。
・平塚工場
平塚工場は製造を担っている第一三共プロファーマの拠点です。研究職でCMC関連の方は工場との関りが深い業務であるためこちらに配属されます。
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