近年、主流となっている「バイオ医薬品」。名前は知っているけど、具体的に何かは知らない。なんとなく「バイオ医薬品」に関わる仕事をしていきたいと考えている人も多いのではないでしょうか。
今回は「バイオ医薬品」について解説してきます。
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バイオ医薬品とは
バイオ医薬品は下記のように説明されます。
有効成分がタンパク質由来(成長ホル モン,インスリン,抗体など),生物由来 の物質(細胞,ウイルス,バクテリアな ど)により産生される医薬品。これら は化学合成の低分子医薬品に比べて 分子が大きく,構造が複雑であり,そ の特性や性質は一般に製造工程その ものに依存します。
「バイオ医薬品ー日本製薬企業」より
特徴としては、分子量が大きく、バイオテクノロジーを利用して製造するクスリです。
バイオ医薬品の動向
2019年度国内医薬品売上高ランキングは以下の表のようになっています。
参考:【2019年度 国内医薬品売上高ランキング】「キイトルーダ」トップに…「タグリッソ」など売り上げ急増 | AnswersNews
2019年の20製品中7製品がバイオ医薬品でした。
このようにバイオ医薬品が大きく浸透していることが分かります。
低分子医薬品とバイオ医薬品の製造法
技術的な観点からバイオ医薬品を解説するということで、まずは低分子医薬品とバイオ医薬品の製造方法を比較します。簡単なフロー図を下記に記載しました。
このように製造方法が低分子医薬品とバイオ医薬品では大きく異なることが分かります。
低分子医薬品の場合、APIは安定性に優れているため別サイトで製造されます。しかし、バイオ医薬品の場合APIから医薬品になるまで同じサイトで製造します。上記に記載しているセルバンクー培養ー精製がAPI、添加剤混合ー濾過ー充填が製剤の製造工程になります。
さらに、API(高分子)の精製過程、ウイルス・細菌の除去を考えると高度な設備が要求されます。
低分子医薬品とバイオ医薬品の分析
医薬品には規格があり、出荷時や製造工程で規格試験がおこなわれます。
バイオ医薬品も低分子医薬品と同様に規格試験が設定されるのですが、APIの分子量が大きく異なるため、低分子医薬品とは異なる分析機器が必要とします。
下記に確認試験・純度試験で使用されている分析方法の例を記載しました。
このように、バイオ医薬品は分析対象が高分子であり分析機器も異なることが分かります。
就職活動で上記の分析機器の使用有無が採用に直結するとは限りませんが、使っている(原理を理解している)場合はアピールできるでしょう。
まとめ
バイオ医薬品は既存の低分子医薬品と性質が大きく異なります。
製造方法・分析方法ともに大きく異なることから、新規参入する場合は多額の設備投資が必要です。そのため、バイオ医薬品を扱っていない会社で「バイオ医薬品をやりたい」と言うと方向性の不一致と判断されるため気を付けましょう。
配属先がなにをやるかでその後のキャリアプランにも大きく影響してきます。
そのために「将来何をしたいか。」「どのようなキャリアを歩みたいか」をしっかり考え、面接でアピールできるようにしましょう。
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