製薬業界への道~技術職からの業界研究~

製薬企業の技術職(研究職・生産技術職・品質試験職)を目指している方向けに、製薬業界や職種紹介をしているブログです。製薬業界のCMC(Chemistry,Manufacturing and Control)と呼ばれる分野で働いていますので、工場や製剤研究の立場から製薬業界を語っていきます。 就職活動は学生から社会人になる大きなイベントです。学生の立場ではいくら説明を聞いてもイメージできないことが多いのではないでしょうか。就職活動で業界研究・職種研究をすることで、入社後のギャップを少しでも無くすことができま

クスリの製造【注射剤】

クスリの製造方法を知ることは将来の業務内容を把握するうえで重要な事です。

 

クスリには様々な剤形があり、剤形によって製造方法は大きく異なります。

経口固形製剤の製造方法を以前解説いたしましたが、今回は注射剤の製造方法にを解説していきます。

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1. はじめに

注射剤という剤形になじみのある人は少ないのではないでしょうか。

注射剤として使用されるものの多くは抗菌薬・抗がん剤となっています。

また、近年流行りのバイオ医薬品については注射剤が多いですが、APIが化学合成品ではないため、別の記事で解説いたします。しかし、APIの製造以降は注射剤の製造フローを応用できます。

 

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各工程について解説してきます。

 

2.  秤量

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API・添加剤を秤量します。

注射剤の特徴として、添加剤が少ないです。極端な場合、APIとpH調整用の塩(NaOH、HCl)のみといった場合もあります。インタビューフォーム等で興味のある注射剤の処方を確認してみてください。

 

3. 溶解・pH調整

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秤量で測定したAPIを溶解させます。

注射剤は体内に直接注入するということで、pHと浸透圧が重要となります。そのため、添加剤を加えpH・浸透圧の調整をおこないます。

 

 

4. 濾過

ペットボトルろ過器のイラスト

API・添加剤を溶解を終えた溶液を濾過します。

注射剤は体内に直接注入するということで、異物が入らないようにしなければいけません。そこで、この濾過工程で異物(ゴミ・エンドトキシン)を除去します。

 

5. 充填

バイアルのイラスト

濾過を終えた溶液はバイアル瓶等に充填され、病院に届けられるような状態にします。

 

6. 凍結乾燥

注射剤は長期保存の観点から安定性に優れた凍結乾燥品もあります。

凍結乾燥品では充填を終えたバイアル瓶を温度・圧力を調整し、凍結乾燥を行います。

 

凍結乾燥品は安定性に優れていますが、医療現場では再度溶解させなければならないため、手間となっています。

 

7. 滅菌

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注射剤は体内に直接注入するということで、無菌状態であることが必須です。そのため、全ての工程を終えたところで滅菌の作業に入ります。滅菌作業を終えた製品は規格試験した後に市場に出荷されます。

 

8. まとめ

注射剤は体内に直接注入するので、初回通過効果がなく、非常に開発しやすい剤形ですが、投与は経口固形製剤と比較して手間がかかるため、患者さんからは好まれない剤形です。

また、注射剤は無菌という技術を必要とします。そのため、工場では導入が難しく新しく無菌施設を建設する必要があり、膨大な初期費用が必要です。導入の壁は高く、注射剤に関わりたいと考えている方は会社が無菌設備を保有しているかしっかり確認する必要があります。