製薬業界への道~技術職からの業界研究~

製薬企業の技術職(研究職・生産技術職・品質試験職)を目指している方向けに、製薬業界や職種紹介をしているブログです。製薬業界のCMC(Chemistry,Manufacturing and Control)と呼ばれる分野で働いていますので、工場や製剤研究の立場から製薬業界を語っていきます。 就職活動は学生から社会人になる大きなイベントです。学生の立場ではいくら説明を聞いてもイメージできないことが多いのではないでしょうか。就職活動で業界研究・職種研究をすることで、入社後のギャップを少しでも無くすことができま

製薬企業の職種解説【分析研究編】

今回は製薬企業の研究職の一つ、分析研究の職種内容を解説していきます。

 

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1. はじめに

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分析研究はCMCの中でクスリの分析を研究観点からおこなう仕事です。

分析研究職の業務には以下のものがあります。

・医薬品の規格及び試験法の作成(原薬・製剤)

・分析法のバリデーション

 ・申請資料の作成

 ・試験法の技術移転

 

ここでは各項目について解説していきます。

 

2. 医薬品の規格及び試験法の作成(原薬・製剤)

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原薬の評価・クスリを出荷するためには規格を満たしていることが求められます。

その規格試験を作りこむ業務です。

試験方法、使用溶媒、カラムなどの試験法をゼロから考えていきます。

一度、試験法を決めてしまうと、何十年も同じ試験をします。

品質試験の人が簡便にできる、さらに、正確な結果を得られるように試験を設計することが重要です。

 

実際、過去の試験等を参考にすると適当に試験法を設計することは出来てしまいます。

しかし、「患者さんに届くクスリの規格試験を設定する」や「試験者は複数ロットを同時に試験する」という今後のことを考えた試験法を作りこむことがとても重要です。

 

 

 

3. 分析法のバリデーション

 出荷試験として利用するために試験法が正しく設定されている証明が必要です。

そのために、分析バリデーションをおこないます。

分析能パラメータとして下記の項目があります。この項目に沿って分析バリデーションをおこない、試験法に堅牢性があることを示します。さらに、この分析バリデーションの結果は申請書に記載されます。

・真度(Accuracy)

・精度(Precision)

・特異性(Specificity)

・検出限界(Detection Limit)

定量限界(Quantitation Lmit)

・直線性(Linearity)

・範囲 (Range)

これらの項目の説明は実務者観点の話になってしまうので今回は省略します。気になる方は調べてみてください。

 

4. 申請書の作成

 黒塗りされた書類のイラスト

分析研究者の担当として、原薬のパート、製剤のパートがあります。

原薬のパートでは原薬の特性、製剤のパートでは出荷試験の分析バリデーションや安定性試験の結果を記載する必要があります。

 

5. 試験法の技術移転

研究・科学実験のイラスト(女性)

試験法を設定し、申請の準備が終わると生産サイトへ試験法の移転(技術移転)をする必要があります。

分析を開発した時の機器・器具は全く同じではありません。また、生産サイトでは分析者がずっと同じという保障はなく、だれがいつ試験しても安定的な結果を得られることが求められます。

実際の方法は各会社のSOPによって異なりますが、

・分析バリデーション

・比較試験

・技術指導

などがおこなわれます。

 

6. まとめ

分析研究の職種紹介をしました。イメージできたでしょうか?

クスリ自体はバイオ医薬品をはじめとして、複雑なものが多く出ていまが、研究職と言っても大学の研究のように新規性が常に求められることはありません。

分析研究者に求められるのは安価で簡便な試験法を作成することです。当局の承認をもらうということで、新規性よりも今までの基準に沿った、誰もが理解できる試験法を開発することが求められます。最新の技術を使えば良いというわけではありません。

工場サイトの試験者を意識した試験法の作成ができる研究者を目指してください。