分析研究は原薬・製剤の分析方法の確立し、製造サイトで試験できるようにする職業です。
医薬品の開発では下記のように職種が分かれており、分析研究職は製剤研究職や品質試験職、生産技術職の人と関わることがあります。
分析研究職の業務には以下のものがあります。
・医薬品の規格及び試験法の作成
・分析法のバリデーション
・申請資料の作成
・試験法の技術移転
それでは各項目について解説していきます。
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医薬品の規格及び試験法の作成
原薬の評価・クスリを出荷するためには規格を満たしていることが必要であり、その規格試験を作りこむ業務です。
使用試薬、カラムから分析時間まで試験法をゼロから作成していきます。
一度試験法を設定すると何十年も同じ試験をするため、「品質試験の人が簡便にできる」や「正確な結果を得られるように試験を設計する」ことが重要です。
過去の試験法を参考にして試験法を設計することは可能ですが、「患者さんに届くクスリの規格試験を設定する」や「試験者は複数ロットを同時に試験する」という今後のことを考えて試験法を作りこむことが重要です。
分析法のバリデーション
出荷試験として利用するために試験法が正しく設定されている証明が必要です。
そのために、分析バリデーションをおこないます。
分析能パラメータとして下記の項目があります。この項目に沿って分析バリデーションをおこない、試験法に堅牢性があることを示します。さらに、この分析バリデーションの内容は申請書に記載します。
・真度(Accuracy)
・精度(Precision)
・特異性(Specificity)
・検出限界(Detection Limit)
・定量限界(Quantitation Lmit)
・直線性(Linearity)
・範囲 (Range)
これらの項目の説明は実務者観点の話になってしまうので今回は省略します。気になる方は調べてみてください。
申請書の作成
分析研究者の担当として、原薬のパート・製剤のパートがあります。
原薬パート・製剤パートともに分析バリデーションや安定性試験の結果を記載します。
試験法の技術移転
試験法を設定し、申請の準備が終わると生産サイトへ試験法の移転(技術移転)をする必要があります。
開発サイトと製造サイトでは機器・器具が同じとは限りません。また、生産サイトでは分析者がずっと同じ保証はなく、だれがいつ試験しても正しい結果を得られることが求められます。
実際の方法は各会社のSOPによって異なりますが、
・分析バリデーション
・比較試験
・技術指導
などでおこなわれます。
まとめ
分析研究の職種紹介をしました。イメージできたでしょうか?
クスリ自体はバイオ医薬品をはじめとして、複雑なものが多く出ていますが、研究職と言っても大学の研究のように新規性が常に求められることはありません。
分析研究者に求められるのは安価で簡便な試験法を作成することです。当局の承認をもらうということで、新規性よりも今までの基準に沿った、誰もが理解できる試験法を開発することが求められます。最新の技術を使えば良いというわけではありません。
工場サイトの試験者を意識した試験法の作成ができる研究者を目指してください。
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