新薬の誕生確立が3万分の1といわれる昨今、自社のみで薬を開発するのは厳しいとされています。一般的に製薬企業の仕事としては、①薬のタネを探す基礎研究②非臨床試験③臨床試験④製剤化⑤製造⑥販売に大別できます。製薬業界でもリストラが多くおこなわれている中、上記の仕事を委託することが多くなってきました。
①は委託でなくベンチャー企業からの導入や会社の買収がおこなわれますが、②以降は委託することで、個々の作業量軽減がおこなわれます。
これらを詳しく解説し、受託会社とメーカーの違いについても言及します。
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CRO
CROは医薬品開発業務委託機関(Contract Reserch Organization)のことを指します。一言でいうと、臨床試験の受託会社です。臨床試験は病院の先生にお願いし、適した患者さんを見つけ試験をおこないます。臨床試験の後期では複数の病院・期間が必要となります。そのため、試験を委託することで業務量を減らすことができます。
メーカーは臨床試験を委託する機会が多くなっています。そのため、人員も減らしている傾向があり、以前よりもメーカーの臨床開発職の入社することが難しくなっています。CROからメーカーへの転職をすることもできますが、ライバルの数を考えるとメーカーでは学べない実務経験をCROで学ぶといった目的で働き、成長した部分をアピールする必要があります。
CMO
CMOは医薬品製造委託機関(Contract Manufacturing Organization)のことを指します。一言でいうと、製品を委託し製造してくれる会社のことです。製造な特別な設備が必要となる貼付剤や注射剤などの製造することが多いです。その他にも自社工場の設備・生産量を加味しCMOに委託するかどうかを判断します。メーカーには文化や伝統があり、製造方法にも影響している場合があります。受託する側は様々な企業の製造方法・試験方法を知れるため、良いところは自分の知識や経験として取り込むことができるでしょう。
近年ではメーカーの製造拠点を集約していることもあり、メーカーの製造拠点がCMOに売却されることもあります。メーカー入社を希望する会社の製造拠点の数を確認しておくといいかもしれません。
剤形の種類については下記を参考にしてください。
CSO
CSOは医薬品販売業務受託企業(Contract Sales Organization)のことを指します。一言でいうと、MRの派遣会社です。育休・産休などでMRが足りなくなった時など代理でMRを雇うときにお願いします。
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分析センター
非臨床試験や製造された薬の安定性試験などを委託する会社です。分析は製薬業界のみならず、他分野でも必要となる業務です。そのため、日本の大きな化学メーカーのグループ会社として経営している会社もあります。分析センターとして独立している場合も業務内容は様々な分野の分析をおこなうため、経験値が高められます。
受託会社とは
メーカーと受託会社の大きな違いはメーカーが製造業に対し、受託会社はサービス業という点です。どちらが良い悪いはありませんが、顧客が異なるため目線が異なります。メーカーでは他の部署と進捗を確認して進める必要がある一方、受託会社は与えられた業務内容を委託会社の担当部署と連絡し、仕上げることが求められます。担当製品は同一会社だけではないので会社による作業手順の違いや他社の雰囲気を学ぶことができます。
今後、会社のスリム化によって実務経験をしてきた人が貴重な存在になることが考えられます。キャリアパスの一つとして、現場を経験できることは強みになるでしょう。
まとめ
就活性にはとりあえずメーカーと受託企業を受けるという考え方の人が多いと感じています。先ほども記載しましたが、顧客の観点からメーカーと委託会社では見ている視点が大きく異なります。しかし、これらの違いを分かっていない人も多いのではないかと感じています。受託企業はメーカーと比較して数は少ないですが、一度の採用人数は多い傾向にあります。人数を多くとるということで、メーカーよりも簡単に合格できてしまうこともあるかもしれません。しかし、入社後にイメージと違うということにならないよう、企業研究をしっかりおこないましょう。
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