医薬品は薬機法で下記のように定義されています。
この法律で「医薬品」とは、次に掲げる物をいう。一 日本薬局方に収められている物二 人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物であつて、機械器具等(機械器具、歯科材料、医療用品、衛生用品並びにプログラム(電子計算機に対する指令であつて、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。以下同じ。)及びこれを記録した記録媒体をいう。以下同じ。)でないもの(医薬部外品及び再生医療等製品を除く。)引用元:薬機法 第二条一項
薬機法の正式名称は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」であり、「医薬品」以外に「医薬部外品」や「化粧品」などが定義されています。今回は「医薬品」について解説していきます。
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はじめに
「医薬品」は大きく「医療用医薬品」と「一般用医薬品」に分類することが出来ます。さらに、「医療用医薬品」は「先発医薬品」と「後発医薬品」に分けることが出来ます。これらの分類によって、申請に必要な項目やセールスの仕方が大きく異なります。そのため、医薬品の分類によって分社化や部署編成をしており、効率の良い医薬品の開発やセールスをおこなっています。
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先発医薬品
先発医薬品は新薬のことであり、今まで世に流通していない新しい薬です。承認許可を出す機関は厚生労働省となっています。今まで人が服用したことのない化合物であり、安全性のデータが要求されます。そのため、薬物動態試験、薬効・薬理試験、毒性試験と臨床試験のデータが申請に必要です。医薬品の開発は一般的に開発確率が約3万分の1、期間としては10年以上要するとされており、先発医薬品に参入している企業は人材も豊富です。
日本はあくまで世界におけるマーケットの一つであり、海外で設計された医薬品を導入する場合は日本人に合わせた開発が求められます。当然、導入元とのコミュニケーションツールとなる英語は必須です。
後発医薬品
後発医薬品はいわゆるジェネリック医薬品です。近年、バイオ医薬品の後発医薬品としてバイオシミラーというものも存在します。承認許可を出す機関は厚生労働省となっています。ジェネリック医薬品とバイオシミラーは共に先発医薬品と同等性が立証された医薬品であり、先発医薬品よりも安価で購入することが可能です。後発医薬品の名前は〇〇錠100mg「△△△」のように記載され、〇〇には一般名、△△△には会社名(屋号など)が入ります。
ジェネリック医薬品は先発医薬品の特許が切れた後に発売できます。特許が切れる時期は調査すれば分かるため、売上が見込める製品は多数の原薬メーカーが原薬を製造します。この原薬メーカーの動向を調べ、取引し、ジェネリックメーカーが製剤化します。先発医薬品と比較して、合成・薬理の研究職や臨床開発職を必要としないため、規模が小さくとも市場に参加することが可能です。
後発品の薬事規制や戦略は各国によって大きく異なるため、日本の会社が海外に進出することは苦労しています。そのため、開発はあくまで国内用ということになります。
ジェネリック医薬品、バイオシミラーの説明は下記の記事にておこなっていますので確認してください。
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一般医薬品
一般医薬品はOTC(Over The Counter)医薬品とも呼ばれ、ドラッグストアーで買える処方箋が無くても買える医薬品のことです。新しい有効成分を含むものや、今までのものと投与経路になるもの以外は臨床試験が必要とされません。一般用医薬品では厚生労働大臣が承認する品目と、都道府県知事が承認する品目に分かれています。
一般用医薬品は消費者が商品を選べるため、他社製品より「効果がありそう」や「使いやすい」、「安心」等のポジティブなイメージをつけることが重要です。そして、一般医薬品は広告をすることが認められているため、有名な芸能人を起用して商品価値を上げるイメージ戦略も重要となります。
まとめ
医薬品といっても様々な種類があります。分類によって業務内容も大きく変わってきます。就職活動時にはこれら違いについて考えることは少ないかもしれませんが、転職時には業務内容の経験値に違いが出てきます。異業種に転職できないわけではありませんが、経験値の差を上回るスキルが必要となるでしょう。
自分が受ける会社の事業内容や方針を確認し、将来像をきちんとイメージしておきましょう。
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