近年では様々な剤形の薬が認可されています。当局によって定められている日本薬局方(局方)では投与経路や適用部位に大別し、形状、機能、特性で細かく分類されています。
全ての種類を覚える必要はありませんが、会社が得意としている剤形など、企業研究に役立てることができます。
一例として、一般的な製薬企業は固形製剤の設備は持っていますが、注射剤・点眼剤は無菌設備が必要なため、自社で製造せずに委託していることがあります。そのため、注射剤の製造に関わりたいとアピールしても会社の理解が不十分と判断されてしまうこともあります。
今回は第十七改正日本薬局方に記載されている剤形について解説していきます。
- 経口投与する製剤
- 口腔内に適用する製剤
- 注射により投与する製剤
- 透析に用いる製剤
- 気管支・肺に適用する製剤
- 目に投与する製剤
- 耳に投与する製剤
- 鼻に適用する製剤
- 直陽に適用する製剤
- 膣に適用する製剤
- 皮膚などに適用する製剤
- まとめ
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経口投与する製剤
経口投与する製剤は錠剤・カプセル剤・顆粒剤・散剤・経口液剤・シロップ剤・シロップ用剤・経口ゼリー剤に分類されます。
錠剤・カプセル剤・顆粒剤は処方されたことがある方も多いのではないのでしょうか。顆粒剤は造粒されているのに対し、散剤は粉末状の薬で粒径によって分類されます。錠剤、カプセル剤、顆粒材、散財はほぼ同一の機械で製造することが可能です。シロップ用剤はドライシロップと呼ばれるもので、水を加えるとシロップ剤になります。
錠剤の製造方法は下記のページで解説しています。
口腔内に適用する製剤
口腔内に適用する製剤は口腔用錠剤・口腔用液剤・口腔用スプレー剤・口腔用半固形剤に分類されます。口腔内に適用するもの、または、口腔粘膜を通して全身に作用するものがあります。風邪をひいた時に処方されるトローチ剤はここに分類されます。
注射により投与する製剤
こちらは注射剤のみです。
注射剤は体内に直接投与するため、安全性の確保は十分に考慮する必要があります。製造工程も無菌操作などが必要であり、試験内容も多くを必要とします。
無菌の設備ということで莫大な設備投資や厳しい管理を必要とします。
注射剤の製造方法は下記で解説しています。
透析に用いる製剤
こちらは透析用剤のみです。
透析用剤も注射剤同様、無菌操作が必要となります。
気管支・肺に適用する製剤
こちらは吸入剤のみです。
吸入剤は薬物単独ではなく、適切な器具又は、デバイスを利用します。
デバイスのノウハウを持っている企業は少なく、医療機器等の他分野の会社と共同研究で開発することもあります。
目に投与する製剤
目に投与する製剤は点眼剤・眼軟膏剤に分類されます。
いずれの形状も無菌製剤です。粘膜に直接触れる部位であることから、低刺激性や安全性が求められる製剤です。
点眼剤は特殊な医薬品でもあるため、日本ではスペシャリティファーマとして数社が参入しており得意分野としています。
耳に投与する製剤
こちらは点耳剤のみです。
外耳または中耳に直接投与する製剤です。固形、半固形、液状と全ての形状が存在します。
鼻に適用する製剤
こちらは点鼻剤のみです。
鼻腔または鼻粘膜に投与する製剤です。固体、液体の形状があります。
直陽に適用する製剤
直陽に適用製剤として坐剤・直腸用半固形剤・注腸剤があります。
坐剤が多くを占めます。固形、半固形、液状と全ての形状が存在します。
膣に適用する製剤
膣に適用する製剤として膣剤・膣用坐剤があります。
多くが膣に対する局所的な作用を目的としている。固形、半固形の形状があります。
皮膚などに適用する製剤
皮膚などに適用する製剤は外用散剤・外用液剤・スプレー剤・軟膏剤・クリーム剤・ゲル剤・貼付剤があります。
多くが皮膚疾患に対する局所的な作用を目的としているが、皮膚を通して全身作用を目的とした、「経皮吸収型製剤」も存在する。
日本では皮膚領域を専門としたスペシャリティファーマが存在します。
まとめ
これらの製剤を全て一つの会社で作ることは難しいです。
特殊な分野ではスペシャリティファーマとして存在する企業もあり、自社のノウハウだけで足りないときは共同研究をして研究開発していきます。
複数の剤形を製造している会社ではジョブローテーションとして様々な剤形を経験できる可能性もあります。ホームページ等では製造できる剤形まで調べることは難しいため、説明会や懇親会を通して調べ、自分のキャリアプランを考えてはいかがでしょうか。
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