研究職とは「薬を申請するための部署」に属します。名前の通り、薬についてあらゆる角度から研究する職種です。
その他の職種については下記を参考にしてください
研究職は大きく四つの種類(合成系・薬理系・製剤系・分析系)に分けることが出来ます。また、新薬の研究は下記の図のように原薬開発、製剤開発の順でおこなわれます。
原薬開発は合成系、薬理系、分析系、製剤開発は製剤系、分析系が業務をおこないます。
スポンサーリンク
合成系
合成系は効き目のある化合物(API)を探索する研究です。基本骨格を決め、それに類似した化合物を下記のように幾つか合成します。
合成をした後は薬理や安全性の部門と連携することで活性を数値化し、最も適した骨格を決めていきます。
近年はバイオ医薬品が流行っており、合成系の人が得意とする低分子医薬品の数は減ってきていますが、バイオ医薬品と低分子医薬品を組み合わせたADC抗体など新しい形で必要とされる研究者であると考えられます。
薬理系
新規の化合物を人でいきなり評価することは出来ないため、動物などで評価する研究者です。有機合成によって得られた複数の化合物の活性を測定し、下記のようにデータを得ます。その後、合成系の研究者とのコミュニケーションを重ね、より活性の高い化合物に仕上げていきます。
ジェネリックメーカーには合成系と薬理系の研究が基本的にありません。なぜなら、有効成分は決まっているため、探索の必要が無いからです。ただし、自社で原薬から製造し、製剤化までする場合は合成系の部署があり合成方法を研究します。
製剤系
製剤系の研究では、効果のある化合物を実際に患者さんに投与できる形にします。これを処方設計といい、患者さんがより飲みやすくするために味をつけたり、大きさを小さくするなど工夫をします。
また、研究時にはラボスケールで行っていた薬を工場で生産できるようにスケールアップしていく人がいます。
治験薬の製造は必要錠数・剤形の検討段階という観点から研究所レベルで行うことが多いです。そのため、治験薬の製造は製剤系の研究者が行ないます。
下記で製剤研究職の解説を詳しくしています。
分析系
分析系の研究では原薬・製剤共に規格を定める必要があるのでどちらでも必要とされる職種です。
業務内容としては原薬・製剤を分析するための試験方法を考えます。誰が試験しても正しく判定できるような試験を作り上げることが重要です。
また、作り上げた試験法を正しく分析してもらえるように、工場サイトへの移管も業務となります。
下記で分析研究職の解説を詳しくしています。
まとめ
原薬開発と製剤開発では同じ研究職ですが、業務内容、職場の雰囲気が大きく異なります。研究サイトを分けている会社も多く、製剤開発は工場併設となっている会社もあります。
研究者といっても多くの種類があり、専門性も大きく異なってきます。企業側は研究内容を気にしないとは言いますが、ある程度のバックグラウンドを目指している部署の系統に合わせる方が良いでしょう。企業側が懸念していることは、採用者が業務のギャップにより会社をすぐに辞められてしまうことです。その懸念や基礎的な実験手技が身についている学生をとることが多いため、研究職を目指す人は大学の研究室選びが重要です。
製薬企業の研究が大学の研究と異なる点は「真実を追う必要があるが、実用性・スピードを重視して研究するかどうか」ということです。会社では引き出しを増やすことよりも、どの引き出しを使うかの選択が求められます。そのため、引き出しを増やす(基礎をしっかり学ぶ)時間も少なくなります。研究職を目指す皆さんは大学時代の研究生活を大事にしてください。
スポンサーリンク